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2020/04/14 技術関連

エンジニアにとって大事なもの

エンジニアにとって大事なもの

技術なんて二の次?

「(システム開発)技術なんて二の次や。そんなんやってりゃ嫌でも身につくもんや。」

僕にこの言葉を投げかけたのは、僕がネイチャーインサイトの前に所属していた会社の上司だった。
在京10年経つのにこてこての関西弁を使う彼は、元文系大学出身のエンジニアでありながら、
社内外での評判もよく、技術的にも人間的にも一目置かれている存在だった。

そんな彼と同じプロジェクトで仕事をする機会があったある時、言われたのがこの言葉だった。
元文系でありながら、Java、Javascript、VB.NET、VBA、ORACLE、SQL-SERVER、MS-DOSはじめ
他にも多くのIT分野に精通し、豊富な現場経験を持ち、自宅でも自分のパソコンの仮想環境に
クライアントサーバーシステムを構築し自学している、と噂の彼がまさかの技術否定ともとれる言葉を
口にしたのだ。

技術より大事なもの?

まず、先の言葉が発せられた状況を詳しく説明する前に、当時の僕について簡単に振り返ってみると、
そもそも入社の動機からしてこれといったものもなく、なんとなく入社した僕は、30人近くいた同期の
前向きさや意識レベルの高さについていけず、新人研修時点で睡眠学習を始めるような問題児だった。

新人研修を終え、客先常駐という形で現場に出てからも、根本的な仕事に取り組む姿勢は後ろ向きで、
無断欠勤などはしないものの、特別やる気があるわけでもなく、仕事の質も低く、スピードも遅く、
社内外での高評価とは無縁で、大きな成長もないまま、数々の同期や後輩が役職に昇進するのを
ただただ見送る日々を過ごしていた。
そしていつもこう思っていた。「自分には技術力も才能もないからな~」と。

そんな風に過ごし入社して5年ほど経つ頃、彼と同じプロジェクトに配属され、
彼から指示されたプログラムの開発をやることになったのだが、
並みのプログラマーであれば半日程度で終わる作業に丸一日かかってしまう、
といったようなことが何度かあった。
主な原因は、
 ・不慣れなプログラミング言語で書き方に手間取っていたこと
 ・そもそも事前に頭の中で作りたいロジックが明確になっていなかったこと
 ・中間期限(マイルストン)を全く意識していなかったこと
だった。

結果的にプロジェクト全体のスケジュールには少し余裕があったため、大きな遅延にはつながらなかったが、
5年という入社歴を考えれば、大いに問題のある対応であったのは否めない。

そんな僕の仕事ぶりに対して、彼から言われたのが先の言葉だった。
「(システム開発)技術なんて二の次や。そんなんやってりゃ嫌でも身につくもんや。」

そして彼は続けた。
「大事なのはマインドであり、仕事習慣や。それは一朝一夕で簡単には身に付かんぞ。
 いつまでもそんなん(僕の仕事に取り組む姿勢を指して)じゃあかんぞ。」


そう言って彼は
 ・事前確認の重要性
  (そもそも作業内容・目的・期限などを不明確なままスタートしないこと。)
 ・事後確認の重要性
  (どんな人間でも必ずミスはするので、それを見つける習慣を身につけること。)
 ・適切な報連相
  (作業が順調でも、関係者には必要に応じて適宜状況報告すること。特にアラートは早め。)
 ・頑張らずにリスケ
  (困難に対しては残業など作業時間を増やして対応ではなく、まずは早めのリスケなど調整を試みること。)
 ・受け手を常に意識
  (プログラムにしてもドキュメント、コミュニケーションにしても受け手のニーズを意識すること。)

などなど、仕事をしていく上で大事な点について、かなりの時間を割いて説明をしてくれた。

結局この時彼は最後まで技術力の話はせず、人として社会人としてエンジニアとして、
まっとうなマインドをもって日頃から正しい仕事習慣を積み重ねていく重要性を教えてくれたのだが、
一連の彼の言葉を通して僕は「自分がただ技術力や才能を言い訳に努力を怠っていただけだった」
ということに気づかされた。

技術をより生かすもの

誰もが認める技術力を持つ人間が、一見当たり前のことを大事にしているというのは意外にも思えるが、
もちろん、技術が不要ということを彼は言いたかったのではない。
そもそも技術がなければ、お客様の求めるサービスを提供・実現できないし、日進月歩で進化するIT業界に
おいて時代の流れに追いつき、新技術に対しても貪欲に学んでいく姿勢はむしろ必要不可欠だ。

しかし、結局のところ、その技術を生かすのもまた我々人間であり、極端な話どんなに技術力が高くても
適切な場面、適切な相手に対して使えなければ生きてこないのだ。

例えば、
「技術力は高いけど、自分ルール優先でチーム内ルールを守らない人。」
「技術力は高いけど、困っている他のメンバーのサポートをしない人。」
「技術力は高いけど、聞かれたこと以外の情報は自分からは発信しない人。」
「技術力は高いけど、受け手のニーズより、自分が使いたい技術を優先してしまう人。」
などなど、いずれも極端な例ではあるが、この仕事をしていると少なからずこういったエンジニアを
どこかで目にする機会はあるのではないだろうか。
そしてこういった人は、往々にして「技術力はあるけど残念な人」といった評価をされがちだ。

つまり、「エンジニアにとって技術は大事だが、それを生かすのも殺すのもマインド次第」で、
普段の何気ない場面から彼の言うようなまっとうなマインドを持ち、
それにのっとった仕事習慣を身につけているかどうかが大事なのではないだろうか。

今…NIの一員として

その後、自分の仕事習慣を変える為には根本的な環境を変える必要があると感じ、
結果的にネイチャーインサイトへの転職の道を選ぶことになったわけだが、
転職後は心を入れ替えて日々の生活に取り組んできたおかげか(自分で言うのもなんだが)
いい仕事習慣が身につき始めたと思う。

そして、今では、数多くのプロジェクトにアサインされ、一人現場や複数メンバーを束ねるリーダーなど
様々な経験を積み重ね、多くの部下を持つ立場になっているが、技術力だけでなくマインドにも
目を向けて人と接するように心がけている。

もちろん、技術はどんどん学んでいく必要があるし、それを求める姿勢や努力は全面的に肯定する。
僕自身も新しい技術を学ぶ楽しさを今では感じている。
だけど、結局その技術を生かすのはマインドなんだと、自分自身も肝に銘じるとともに、
ネイチャーインサイトで関わる人々に少しでもこの経験を還元できればいいと思い、
僕は今日もエンジニアとして過ごしている。

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